霧の雨が優しく包む街
時間をつかまえてゆっくりと漂う粒子
あの日失った忘れ物も
見えなくなった誰かも
この霧の粒になって
きっとここに在る
ゆっくりと
時間に全てを溶かしているんだ
霧の雨が優しく包む街
時間をつかまえてゆっくりと漂う粒子
あの日失った忘れ物も
見えなくなった誰かも
この霧の粒になって
きっとここに在る
ゆっくりと
時間に全てを溶かしているんだ
いろんなもののすきまに
隠れている
はっきりわかるものの間の
はっきりしないもの
かき分けて確かめようとしても
掴みきれないもの
たまにはその曖昧な物に
浮かんで漂っているのも好き
湿度の高い暑さのなかで
通り過ぎる一涼の風を追うように
川は濃緑でするりとひかり
岩には山ツツジが赤く咲く
釣り人は糸を垂れ身動きもしない
時折鳴く鶯が時間の存在を示す
ここはまるで別世界
ほんの少し走っただけで
日常とかけ離れた空間は在る
だから今度どうにもならないと思ったら
車を飛ばしてここに来よう
ちがうスピードの時間の中で
どうにもならないことは
ほんとにどうにもならないのかを
もう一度考えに来よう
今 そうだねというように
また鶯が鳴いた
美しい水をください
戦場の泥水をそれでも飲まねばならぬ子に
美しい水をください
お母さんがいるのにいない子に
美しい水をください
泣きたくても苦しくて涙のでないかわりに
美しい水をください
油の浮く海に住む魚たちに
美しい水をください
好きでいたいのに自分が一番嫌いな人に
美しい水をください
閉じられた扉の前に
それでも世界にやさしく強く包まれていると実感できるような
美しい水をください
どこにも売ってない透明な輝く美しい水を
美しい水をください
あなたの心の透明な水は
誰かの乾きを潤して
やがては全てを包む水になる
美しい水をください
いつかそれが満たされたなら
私はたくさんの水になって
またたくさんののところに流れていくのでしょう
※そんな横顔フリーキック の、「水知らずの人」を読んで書きました。
手のひらの熱は
冷たい壁に押しつけて
知らないふりをしていよう
平気なふりは上手くできるけど
平気でいるのは難しい
そんな簡単にできた人になんかなれない
そんな簡単に強くなんかなれない
高慢な目つきも
不遜な態度も
ほんとはしたくないのに
これ以上私の心乱さないで
涙を孕んだやわらかな雲に
やさしく包まれたなら
こんな気持ちさえいつか
海にかえれるのかな
走り去っていくバイクの音は
どうしてなんだか悲しいんだろう
断末魔のように私の胸に叫びを残して
湿気を帯びた6月の風
きっともうすぐ雨が降る
闇の夜
ベットを抜け出し
木々の吐息
湿った土のにおい
蛙のこえ
夜に飛ぶ虫の羽音
闇に包まれ
私はかわる
私は色のわからない花
闇の中では
ほんとの色は見えない
だけど昼間の色だけが
決して正しい訳じゃない
闇に息づく赤
浮き上がる白
褐色に揺れる黄色
ひそむような青
アスファルトの上
そっと座り込み
呟くように
夏の歌をうたおう
甘く濃厚な果実のかおり
湿った闇に混ぜ
眠るあなたの耳元に
そっと秘かに届くように
静かに甘く響くように
天気予報は雨
昨日も今日も雨
しずくしずく落ちてまわれ
ここにもそこにあちらにも
天に還った海の水
天気予報は雨
今日も明日も雨
しずくしずく落ちてまわれ
ここにもそこにあちらにも
天に還ったあの日の涙
天気予報は雨
明日も明日も雨
しずくしずく落ちてまわれ
ここにもそこにあちらにも
天に還った誰かのこころ
雨のうた
こころしずめて
ゆるく風
通り過ぎてく
何度も来る今日は
同じじゃないと知っていたけど
結局は同じ顔で過ごして
知ってるよ
時間は無限にあるようで
ほんとはそんなに無いことも
それでもいいよ
しらないふりで
雨のうた
こころしずめて
永遠を
それでも永遠と
信じていたいそんな日もある
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