まっ赤なトマトの真ん中は
柔らかな涙で包まれた自分の種がある
甘い果肉を包むまっ赤な皮は
お日様の光を照り返す
葉は日をとらえ
茎は精一杯に広がり
途中から根も出そうとする勢いだ
取り忘れられた実が地に落ちたなら
秘かに種から芽を出そう
茎が地に着いたなら
そこから根を出して増えるのだ
トマトでいっぱいにしたいのさ
この花壇中 町中 地球中
トマトの歌を聴きながら
赤いトマトを頬張れば
強い命が口の中で弾けた
そうして私はトマトになれる
強い光の白い反射に色を無くす街
張り裂ける蝉の声
身体ごと溶かす熱
白さに 音に 熱に飲まれて
そこらに転がる夏の屍
私はここにいる
力を入れて 前を向いて
負けずに叫べばきっと消えない
完璧に美しい生き方なんてあるのでしょうか
無邪気に見える子供は残酷な一面を持ち
分別のある大人は正しければ正しいほどに背中に暗闇を隠している
純粋に美しい想いなんてあるのでしょうか
大好きな母には誰よりも自分を見て欲しい
愛しい我が子は誰よりもよい子で幸せになって欲しい
当たり前な想いでも考えてみれば自分勝手なかたまりで
どこを見ても完璧も純粋もないから
そういうものを探すのはもうやめて
いいんだこれでと諦めて 流されて
どう猛な爪を隠したままで笑えるようになって
そのうち爪をさらしたままでも平気になって
そのどう猛さ残酷さを競うようにさえなって
正しさを説く人を見ると 影でけ落としてやりたくなって
こうでなくては生きられないんだと納得して
燃えるような空
なんの嘘もない朱
偶然目にした夕日に心を奪われてしまうのは
全ての言い訳が一瞬で葬られてしまうからかもしれません
美しい物を見て美しいと思う心
それがある限り人は苦しまなければならないのです
そしてまた苦しくなった胸を押さえて
明日からまた生きていくのです
一年に一度だけ逢える恋人
やっと逢えてもすぐにまた悲しみが来るなら
もう二度と逢いたくなどない
きっと364にちの不安も重くて
信じるのも信じないのも
辛すぎるから
その人はもう死んでしまったと思いたい
ねえ 七夕には毎年雨を降らせて
私は死んでしまったと伝えて
それほどに好きだから
うれしいうたをうたうとき
うれしいのは好き
それは生きてる輝きだから
悲しいうたをうたうとき
悲しいのも好き
それも生きてるって事だから
淋しいうたをうたうとき
淋しいのは好き
何かを探しに行きたくなるから
苦しいうたをうたうとき
苦しいのも好き
負けたくないって思えるから
私がうたうのをやめたとき
それはきっと全ての絶望で
楽譜は無意味な記号にかえって
もう私を揺らしはしない
さあカレンダーめくり
満たされた水のグラスに
7月の空気そそぐ
朝顔の蔦絡まり
向日葵が見上げる
圧倒される青
狂おしい温度
肌を離さない濡れた気体
苦しくて
息が出来ない
連なる日付に薫る
それほどに甘い夏
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