あけみちゃん
覚えていますか
あなたが少しの間暮らした町にいた私のことを
あなたは私の娘より
少しだけ幼い歳でした
それなのに身体は大きくて
ちょっと大人びて見えました
公園の隣のマンションに
お母さんと二人で住んでいましたね
娘が遊びに行ってみたら
お母さんは寝ていたみたいだと言ってました
あけみちゃん
涼しくなっても
あなたの足はサンダルのまま
どうみても小さすぎる自転車で
昼間もブラブラしていましたね
幼稚園にも行っていないと
近所のお母さん達は眉を寄せていました
あけみちゃん
あの日うちに来てくれたとき
娘が帰ってと言ったのは
あなたが嫌いだったからじゃないんです
ただ宿題ができてなかっただけだったんです
廊下で立ちつくして顔を歪ませたあなたを
私は思わず抱きしめてしまいました
あなたは声をあげて泣きましたね
たくさんの涙が私の胸を濡らし
抱きしめた頭がとても熱かった
あれからあなたの姿を見なくなって
人の噂で引っ越ししたと聞きました
あけみちゃん
覚えていますか
あなたが少しの間暮らした町にいた私のことを
あれからもう何年も経つのに
私はあなたが忘れられません
あなたのたくさんの涙が胸に染みこんでしまってとれません
あなたの体温がこの腕にずっと残ってとれないのです
あなたはどこに居るのでしょう
あなたに会う術はきっともう無いのでしょう
だからせめてあなたの幸せをここからずっと祈っています
そして約束しましょう
いつかまた名前の違うあなたのような子に会ったなら
今度こそ
何もしない私にはならないと
